こんにちは。LuxBike Blog編集部です。

320ccという絶妙な排気量を持つヤマハのMT-03ですが、購入を検討する際にmt03を買って後悔しないか不安に思う方は非常に多いです。特に兄弟車であるMT-25との比較や車検にかかる維持費の問題、さらには高速道路での快適性など、気になるポイントは山積みですよね。せっかくの愛車選びで失敗したくないからこそ、良い部分だけでなくネガティブな側面もしっかり把握しておきたいところです。今回はMT-03のオーナーが抱きがちな不満や、逆にこのバイクだからこそ得られる満足感について、包み隠さずお話ししていきます。

  • 車検制度による具体的なコスト差と心理的な負担
  • 高速道路での振動や風圧による疲労度の現実
  • 2020年のマイナーチェンジ前後で変わる性能と評価
  • MT-03を選んで満足できるライダーの具体的な特徴

MT03を買って後悔?維持費や欠点を徹底分析

MT03を買って後悔?維持費や欠点を徹底分析
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MT-03は非常に完成度の高いバイクですが、「買ってよかった!」という声と同じくらい、「これなら〇〇にしておけば…」という複雑な声が聞こえてくるのも事実です。多くのライダーがMT03を買って後悔したと感じるポイントは、実は性能面よりも「制度」や「快適性」に集中しています。ここでは、オーナーを悩ませるリアルなネガティブ要素を深掘りしていきましょう。

車検があるから維持費が高くてきつい

車検があるから維持費が高くてきつい
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MT-03を購入して最も多くのライダーが頭を抱えるポイント、それは間違いなく「車検」という制度の壁です。日本の法制度において、排気量250ccを超えるオートバイには、2年ごと(新車時は3年)の継続検査が義務付けられています。MT-03の排気量は321cc。たった71cc、250ccのラインをオーバーしているだけで、400ccクラスやリッターバイクと全く同じ法的義務を負うことになるのです。

「維持費なんて大したことないだろう」と最初は思っていても、実際に所有してみるとボディブローのように効いてくるのが車検コストです。具体的には、重量税、自賠責保険(24ヶ月分)、検査印紙代といった法定費用に加え、バイクショップに依頼する場合は点検整備費用や代行手数料が発生します。これらを合計すると、一度の車検で5万円から8万円程度の出費になることが一般的です。

【MT-03(車検あり)とMT-25(車検なし)の維持費構造の比較】

項目 MT-03 (321cc) MT-25 (249cc) 備考
車検の義務 あり(2年毎) なし MT-03最大の後悔要因
重量税 購入時&車検毎 購入時のみ 長期保有で差が開く
自賠責保険 車検期間分必須 期間選択自由 MT-03は柔軟性が低い
整備費用 車検整備(必須級) 任意メンテナンス 強制力の有無

特に精神的なダメージとして大きいのが、「心理的な不公平感」です。隣に並んでいるMT-25と見た目はほぼ同じ、車体サイズも同じ、装備もほとんど変わりません。それなのに、MT-25のオーナーはコンビニで手軽に自賠責保険を更新して乗り続けている横で、自分だけは陸運局へ行くか、ショップに数週間預けて高額な費用を支払わなければならないのです。この「対価に見合わないコスト負担感」が、MT-03を手放すきっかけになるケースは非常に多いですね。

また、車検制度には「カスタムの制限」という側面もあります。マフラーの音量規制や排ガス規制はもちろん、ヘッドライトの光軸、ウインカーの面積、ハンドルの幅など、車検に合格するためには保安基準を厳密に満たしている必要があります。「ちょっとカスタムして自分好みにしたい」と思っても、車検のたびに純正に戻す手間を考えると億劫になってしまう。そんな自由度の低さも、後悔の一因となり得るでしょう。

もちろん、車検があるということは、強制的にプロの目で整備される機会があるということでもあります。ブレーキパッドの残量やチェーンの伸び、タイヤの劣化など、安全に関わる部分を定期的にチェックできるのはメリットとも言えます。しかし、経済性を最優先に考えるライダーにとっては、そのメリットよりもコストのデメリットの方が大きく映ってしまうのが現実です。詳しくは、国土交通省のガイドラインなども参考に、ご自身の予算感と照らし合わせてみてください。(出典:国土交通省『自動車検査・登録ガイド』

MT-25と比較して後悔するポイント

MT-25と比較して後悔するポイント
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MT-03を語る上で避けて通れないのが、兄弟車であるMT-25(250cc)との比較です。多くのライダーが購入前にこの2台で悩み、そして購入後に「あっちにしておけばよかったかも」と振り返ることになります。特にMT-03を選んで後悔するパターンの多くは、日常の使い勝手とコストパフォーマンスのバランスを見誤った場合に発生します。

動力性能の差は「劇的」ではない現実

MT-03は320cc、MT-25は250cc。排気量にして約70ccの差がありますが、これによるパワーの違いは「劇的」というほどではありません。もちろん、MT-03の方がトルクが太く、発進加速や追い越しの余裕は確実にあります。しかし、MT-25も高回転型の元気なエンジンを積んでおり、街中や峠道で「遅くてついていけない」なんてことはまずありません。むしろ、エンジンをぶん回してパワーを絞り出す楽しさは、250ccのMT-25の方が強いと感じるライダーもいます。

「車検代を払っているのだから、圧倒的に速いはずだ」と期待しすぎると、実際の走行フィールの近さに拍子抜けしてしまうかもしれません。「これくらいの差なら、車検のないMT-25で十分だったな」と後悔する瞬間です。

豆知識:ナンバープレートの色の違い

MT-25は「軽二輪」区分のため、ナンバープレートの枠がありません(白一色)。一方、MT-03は「小型二輪」区分で、緑色の枠がつきます。この緑枠を見て「あ、車検があるバイクだ」と認識されるのですが、中には「車検があるのに250ccと同じ車体に乗っている」ことに対して、なぜかコンプレックスを感じてしまう人もいるようです。バイクの楽しみとは無関係な部分ですが、所有感に関わる微妙な心理ですね。

リセールバリューと市場の需要

もう一つの大きな後悔ポイントは、売却時の価格差です。中古車市場において、MT-25は「車検がない」という圧倒的なメリットのおかげで、初心者からベテランのセカンドバイクまで幅広い層に大人気です。そのため、走行距離が多少伸びていても買取価格が安定しています。

対してMT-03は、「車検があるなら400ccを買う」という層と、「維持費を安くしたいから250ccを買う」という層の狭間に落ちてしまいがちです。需要が限定的であるため、手放す際の下取り価格がMT-25よりも低くなるケースすらあります。「維持費が高くついた上に、売る時も安い」という二重苦を味わうリスクがあることは、購入前に覚悟しておくべき事実です。

もし、あなたが「週末の街乗りがメイン」で、「高速道路はたまにしか乗らない」というスタイルなら、私は正直にMT-25をおすすめするかもしれません。MT-03の+70ccの余裕が本当に必要になるのは、頻繁な高速走行やタンデムツーリング、あるいは荷物を満載したキャンプツーリングなど、エンジンに負荷のかかるシーンに限られてくるからです。

MT-03の試乗インプレッション記事はこちら

高速道路での振動と風圧は疲れる

MT-03の購入動機として、「250ccよりも排気量が大きいから、高速道路を使ったツーリングが楽なはず」と考える方は多いでしょう。確かに、パワーの余裕はあります。100km/h巡航もエンジン的には全く問題ありません。しかし、実際に長距離を走ってみると、スペック表には現れない「振動」と「風圧」という二つの敵に悩まされることになります。

5,000回転の壁と「手の痺れ」

MT-03に搭載されている直列2気筒エンジンは、180度クランクを採用しており、特定の回転域で振動が発生しやすい特性を持っています。個体差もありますが、多くのオーナーが口を揃えるのが、5,000rpm〜7,000rpm付近での微振動です。

ちょうど高速道路で80km/h〜100km/hで流している時に、この回転域を多用することになります。最初は「心地よい鼓動感」と感じるかもしれませんが、1時間、2時間と走り続けると、ハンドルを握る手に「ジーン」という痺れが蓄積されていきます。サービスエリアで休憩しようとして、缶コーヒーを持つ手がビリビリして感覚がない…なんて経験をしたオーナーは私だけではないはずです。ステップやシートにも振動は伝わるため、長時間の走行ではお尻や足の裏もムズムズしてきます。

この対策として、純正よりも重い「ヘビーウェイトバーエンド」に交換したり、耐震ゲル入りのグリップに交換したりするカスタムが定番ですが、エンジンの構造的な振動を完全に消すことは不可能です。4気筒エンジンのようなシルキーな回転フィールを期待していると、このガサツとも言える振動特性に失望してしまうかもしれません。

ネイキッドの宿命、風との戦い

そしてもう一つ、避けて通れないのが風圧です。MT-03は「マスター・オブ・トルク」の名を冠するストリートファイターであり、デザインの優先順位は「カッコよさ」が最上位にあります。そのため、ライダーを守るカウルやスクリーンは皆無に等しい状態です。

時速100kmでの走行風をまともに全身で受け止めるとどうなるか。ライダーは風圧で体が後ろに持っていかれないように、無意識のうちに腹筋と背筋、そして腕の力を使って耐えることになります。これは一種の筋トレ状態であり、体力の消耗が激しいです。「高速道路に乗れる」ということと、「快適にクルージングできる」ということは全く別次元の話です。

高速道路での疲労を軽減するための対策

  • 社外スクリーンの装着:見た目のシャープさは多少犠牲になりますが、胸元への風を防ぐだけで疲労度は劇的に下がります。
  • こまめな休憩:振動による痺れを回復させるため、1時間に1回は必ず休憩を取るのが鉄則です。
  • 巡航速度を抑える:あえて80km/h〜90km/h程度で走行し、振動の少ない回転域を使うのも一つの手です。

もしあなたの主な用途が「片道300km以上の高速ツーリング」であるなら、フルカウルのYZF-R3や、より大型のツアラーモデルを検討した方が、結果として幸せになれるかもしれません。MT-03はあくまで「ストリート」が主戦場であることを忘れないでください。

積載性が皆無でツーリングが不便

スタイリッシュなデザインの代償として、MT-03の積載性は「皆無」と言っても過言ではありません。納車されて初めてシートを開けた時、そのスペースのなさに絶望するオーナーは後を絶ちません。

シート下スペースの現実

リアシート(タンデムシート)を鍵で開けると、そこにはほんのわずかな隙間しかありません。純正の車載工具と書類(車検証・自賠責証書)を入れたら、もう満杯です。さらに、多くのライダーはここにETC車載器の本体を設置することになります。そうなると、もう何も入りません。予備のレバー、パンク修理キット、あるいはツーリング先で買ったお土産…これらを収納するスペースは、車体のどこにも存在しないのです。

無理に詰め込もうとすると、配線を圧迫したり、大切な書類がクシャクシャになったりするリスクがあります。「ちょっとした小物入れすらないのか」という不満は、日常的に使う中でじわじわとストレスとして溜まっていきます。

積載におけるジレンマ

「じゃあバッグを付ければいいじゃないか」と思うかもしれませんが、ここにもMT-03特有の悩みがあります。MT-03のテールデザインは、跳ね上がって先端が尖ったシャープな形状をしています。これが非常にかっこいいのですが、市販のシートバッグを取り付けた時の「座りの悪さ」に繋がるのです。

大きなキャンピングシートバッグなどを載せると、バッグの底面が安定せず、左右に垂れ下がってしまったり、ウインカーと干渉してしまったりすることがあります。また、デザイン重視のバイクだけに、大きな箱(トップケース)やバッグを付けると、全体のシルエットが崩れてしまうことを嫌うオーナーも多いでしょう。

結局、多くのMT-03乗りはリュックサックを背負って走ることを選びます。しかし、長時間のライディングで重いリュックを背負い続けるのは、肩こりや疲労の原因になります。スマートに乗りたいけれど、荷物は運びたい。この相反する要望を満たすのが非常に難しいバイクなのです。もし購入を検討しているなら、自分が普段どれくらいの荷物を持って走るのか、シミュレーションしておくことを強くお勧めします。

燃費は良いがタンク容量に不満の声

燃費は良いがタンク容量に不満の声
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MT-03の燃費性能自体は、決して悪くありません。むしろ、320ccの2気筒エンジンとしては優秀な部類に入ります。オーナーの実測データを見ても、街乗りで22km/L〜25km/L、信号の少ないツーリングルートなら28km/L〜30km/L程度はコンスタントに記録します。

航続距離と給油のタイミング

しかし、ここで問題となるのが「タンク容量」と「比較対象」です。MT-03の燃料タンク容量は14リットル。計算上は300km〜350km程度の航続距離を持っています。一見十分なように思えますが、燃料計の目盛りは早めに減る傾向があり、残り数リットルを残して給油ランプが点灯します。心理的には200km〜250km走ったあたりで「そろそろ給油しなきゃ」というプレッシャーを感じ始めることになります。

特に、燃費お化けと言われる250cc単気筒モデル(スズキのジクサー250やホンダのCB250Rなど)と一緒にツーリングに行くと、その差を痛感します。彼らはリッター35km〜400km以上平気で走るため、自分が「給油したい」と言い出すタイミングで、彼らはまだタンクに余裕があるのです。「ごめん、ガソリン入れたい」と頻繁に言わなければならない気まずさは、グループツーリングにおける地味なストレス要因です。

また、ハイオク指定ではありませんが(レギュラーガソリン仕様)、最近のガソリン価格高騰もあり、リッター20km台前半という数字に対して「意外と食うな」と感じてしまう人もいます。これもまた、維持費の安さを求めてMT-03を選んだ層にとっては、計算違いによる小さな後悔ポイントとなり得ます。

MT03で後悔しないための選び方と対策

MT03で後悔しないための選び方と対策
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ここまで、MT-03のネガティブな側面をこれでもかと書き連ねてきました。「なんだ、ダメなバイクなのか」と思われてしまったかもしれませんが、決してそうではありません。私自身、MT-03は非常に魅力的で、乗っていて楽しい素晴らしいモーターサイクルだと確信しています。

重要なのは、これらの欠点を理解した上で、それを補って余りあるメリットを享受できるかどうかです。ここからは、MT-03を選んで「大正解だった!」と心から思えるようにするための、具体的な選び方と視点の転換について解説します。

中古選びは2020年式以降が必須

中古選びは2020年式以降が必須
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これからMT-03を中古車で購入しようと考えているあなたへ。これだけは絶対に守ってほしい鉄則があります。それは、「可能な限り2020年以降のモデルを選ぶこと」です。予算の都合もあるかと思いますが、無理をしてでもここにお金をかける価値はあります。

なぜ2020年モデルなのか?

2020年のマイナーチェンジは、単なるカラー変更やデザインのお化粧直しではありません。走行性能の根幹に関わる部分が刷新されています。最大の違いはフロントサスペンションです。それまでの正立フォークから、37mm径の倒立フロントフォークに変更されました。

この違いは、街角を一つ曲がるだけでも体感できるほどです。ブレーキング時のフロントの沈み込み(ノーズダイブ)が適度に抑制され、コーナーへの進入が驚くほど安定します。路面のギャップを拾った時の収束も早く、ワンランク上のバイクに乗っているような剛性感があります。旧型オーナーが新型に試乗して、「悔しいけど全然違う」と唇を噛むほどの進化なのです。

2020年モデル(後期型)の識別ポイント

  • フロントマスク:眉毛のようなポジションランプと、口元にある極小LEDヘッドライト(睨みを効かせたエイリアンのような顔つき)。
  • サスペンション:フロントフォークが金色(または黒)の倒立タイプになっている。
  • タンクカバー:幅広でボリュームのある形状に変更されている。

後から旧型を倒立フォークにカスタムしようとすると、部品代と工賃で10万円以上の出費になります。それならば、最初から少し高くても2020年以降のモデルを買うほうが、トータルコストは安く済みますし、満足度も段違いです。「安いから」という理由だけで初期型(2016-2019年式)を選ぶと、後で新型を見かけるたびに後悔することになりかねません。

400ccクラスのライバルとの比較

車検があるバイクに乗るなら、当然ライバルとなるのは400ccクラスです。カワサキのZ400、ホンダのCB400SF(現在は生産終了していますが)、あるいはKTMの390 DUKEなどが比較対象になります。

ここでMT-03を選ぶべき最大の理由は、「圧倒的な軽さと、使い切れるパワーのバランス」に尽きます。400ccクラス、特に4気筒モデルはパワーがありますが、車重も200kg近くになり、取り回しが重くなります。一方、MT-03は車重約169kg。これは250ccクラスと同等の軽さです。

この軽量な車体に、42馬力のエンジンを積んでいることの意味を考えてみてください。パワーウェイトレシオ(1馬力あたりが負担する重量)で見れば、MT-03は非常に優秀な数値を叩き出しています。重厚感のある加速ではなく、弾けるような瞬発力。ワインディングでヒラヒラと切り返せる軽快感。これこそがMT-03の真骨頂です。

「車検代を払うなら、排気量ギリギリまでパワーがないと損だ」と考えるスペック至上主義の方には、正直MT-03は向きません。Z400やNinja400を選んだ方が幸せになれるでしょう。しかし、「日常での扱いやすさを犠牲にせず、ここ一番での速さも欲しい」という欲張りなニーズに対して、MT-03は「パワーと軽さの黄金比」という回答を用意してくれています。この絶妙な立ち位置を理解できる人こそが、MT-03の真の理解者と言えるでしょう。

リセールバリューの下落に注意

バイクライフにおいて「出口戦略」も重要です。残念ながら、MT-03のリセールバリュー(売却額)は、MT-25や人気の400ccモデルに比べるとやや不利な傾向にあります。

理由は先述の通り、「車検がある中途半端な排気量」として中古車市場で敬遠されがちだからです。特に、個人売買や買取店での査定では、車検の残期間が価格に大きく影響します。車検が切れたMT-03は、次の乗り手が車検費用を負担しなければならないため、驚くほど安い査定額になることも珍しくありません。

この対策として考えられるのは、「乗り潰すつもりで長く愛する」ことです。3年、5年と長く乗れば、購入時の価格差やリセールの差は日々の満足度で償却できます。あるいは、リセールを気にして人気色(ヤマハならアイコンブルーや、ブラック系の人気カラー)を選んでおくのも一つの手ですが、基本的には「投機的な価値」を期待するバイクではないと割り切っておくことが、精神衛生上好ましいでしょう。

足つきと取り回しは抜群に良い

ここでポジティブな面に目を向けましょう。MT-03を買って「本当に良かった」と誰もが感じるポイント、それが足つきの良さと取り回しの軽さです。

シート高は780mmと低めに設定されており、さらにシート前方が絞り込まれているため、数値以上に足つきが良いです。身長160cm台の方でも両足のつま先、あるいは片足の踵までしっかり接地するでしょう。150cm台の女性ライダーでも、厚底ブーツなどを併用すれば十分に扱える範囲です。

そして何より、車体が軽い。ガソリン満タンでも170kgを切る軽さは、駐輪場からの出し入れや、狭い路地でのUターンにおいて絶大な安心感をもたらします。「今日はちょっと疲れてるけど、バイクに乗ろうかな」と思った時、重いバイクだと「億劫だな」と諦めてしまうことがありますが、MT-03ならスニーカー感覚で乗り出せます。

この「乗るハードルの低さ」は、バイクを長く楽しむ上でスペック以上に重要な要素です。立ちゴケのリスクにおびえながら乗る高性能バイクより、手足のように扱えるMT-03の方が、結果的にライディングスキルも向上しますし、訪れる場所の範囲も広がるはずです。

街乗り最強?最高速より扱いやすさ

MT-03のエンジンキャラクターは、日本の道路事情に極めてマッチしています。低回転域から粘り強いトルクを発揮し、発進時にエンストする気配がほとんどありません。渋滞路でのノロノロ運転や、ストップ&ゴーの多い都市部でも、ストレスなく走ることができます。

実用域での「速さ」

最高速チャレンジをするわけではない私たち一般ライダーにとって、重要なのは「0km/hから60km/hまでの加速」や「60km/hから80km/hへの再加速」です。MT-03はこの領域のレスポンスが素晴らしく、アクセルをひねれば即座に車体が前に出るダイレクト感があります。

また、クラッチ操作も軽く(特に2020年モデル以降のアシスト&スリッパークラッチ搭載車)、左手の疲労も最小限です。街乗り最強のコミューターとして通勤・通学に使い、週末はそのまま峠へ遊びに行く。そんなオールマイティな使い方ができるのがMT-03の強みです。「最高速なんて出せなくていい、信号ダッシュで気持ちよく加速できればいい」という現実的なライダーにとって、これほど頼もしい相棒はいません。

MT03で後悔する人と満足する人の違い

最後に、これまでの分析を総括して、MT-03で後悔する人と満足する人のプロファイルを明確にしておきましょう。あなたがどちらに当てはまるか、冷静に見極めてください。

【こんな人はMT-03を買って後悔する可能性が高い】

  • 経済性最優先の人:「1円でも安く維持したい」と考えるなら、絶対に車検のないMT-25や125ccクラスを選ぶべきです。車検通知が来るたびに憂鬱になります。
  • 長距離高速ツアラー:片道数百キロの高速移動を頻繁に行う場合、風圧と振動で体が悲鳴を上げます。カウル付きのモデルを検討しましょう。
  • カタログスペック至上主義の人:「400ccクラスのライバルより馬力が低い」「250ccと変わらない」といった数値上の比較で劣等感を感じてしまう人は、精神的に満足できません。

【こんな人はMT-03を選んで大満足できる】

  • 「軽さは正義」だと信じている人:重いバイクに疲れ果てた人や、軽快なハンドリングを何より愛する人。
  • 250ccでは物足りない人:「軽さはそのままで、あとちょっとだけパワーが欲しい」という明確なニーズを持っている人。
  • デザインに惚れた人:特に2020年以降のメカメカしいフロントマスクや倒立フォークの造形美に魅力を感じるなら、多少のネガティブ要素は愛着でカバーできます。
  • ステップアップを目指すビギナー:大型バイクへの移行を見据えつつ、まずは取り回しの軽いバイクでライディングの基礎を徹底的に磨きたい人。

ビギナーの方はこちらもチェック↓

プロテクターについての記事になります。https://luxbike-blog.net/motorcycle-protector-priority-guide/

MT-03は、万人受けする優等生のように見えて、実は乗り手の価値観を鋭く問うバイクです。コストパフォーマンスを重視するか、それとも「操る楽しさと軽快感」というプライスレスな価値を重視するか。もしあなたが後者であり、ストリートを自由自在に駆け抜けたいと願うなら、MT-03はあなたの期待を裏切ることなく、最高の景色を見せてくれるはずです。