こんにちは。LuxBike Blog編集部です。

大型バイクのエントリーモデルとして世界中で絶大な人気を誇るヤマハのMT-07ですが、いざ購入を検討しようと検索してみると、「mt07 後悔」や「失敗」、「飽きる」といったネガティブな関連キーワードが目につき、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。せっかくの愛車選びで「こんなはずじゃなかった」と後悔する事態は絶対に避けたいものです。特にバイクは決して安い買い物ではありませんから、事前にその特性や評判を深く理解しておくことが重要です。

インターネット上では「音が悪い」「サスペンションが弱い」といった噂も飛び交っていますが、これらには明確な技術的理由と、開発時のコストダウンという背景が存在します。このバイクは「コストパフォーマンス最強」と謳われる一方で、その安さを実現するために切り捨てられた要素があるのも事実だからです。

この記事では、実際にMT-07を所有した多くのオーナーが直面した「リアルな後悔」の正体を、エンジニアリングや人間工学の視点から徹底的に分析しました。

  • 後悔の原因となるMT-07特有のデメリットと走行性能の限界
  • 「飽きる」「音が悪い」と言われる理由とその解決策
  • 購入前に確認しておくべき身長や用途とのミスマッチ
  • MT-07を選んで正解だったと感じられるユーザーの条件

MT-07を買って後悔する欠点と理由

MT-07を買って後悔する欠点と理由
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MT-07は間違いなく「名車」と呼ばれる部類のバイクですが、それでもオーナーになってから「想像と違った」と後悔するポイントが明確にいくつか存在します。メーカーの謳い文句である「Dark Side of Japan」という過激なイメージとは裏腹に、実際の製品特性にはコスト制約による妥協点も見え隠れします。ここでは、実際に所有した後に気づきやすい代表的な不満点について、技術的な背景も含めて詳しく解説していきます。

エンジン特性ですぐに飽きる可能性

MT-07に搭載されている688ccの水冷直列2気筒エンジン、通称「CP2(クロスプレーン・コンセプト)エンジン」は、低回転から高回転まで非常にスムーズに回る、現代の傑作エンジンの一つです。しかし皮肉なことに、このあまりにも優秀でフラットなトルク特性こそが、一部のライダーにとって「すぐに飽きる」原因になってしまうことがあります。

具体的にどういうことかと言うと、4気筒エンジンのように回転数が上がるにつれてパワーが二次曲線的に炸裂する「カムに乗る」感覚や、ある回転域から性格が急変するような「ドラマチックな演出」が、このエンジンには希薄なのです。アクセルを開ければ開けた分だけ、忠実に、そして淡々と加速していく。この「完全なリニアリティ(直線性)」は、実用面やタイムを出す上では最強の武器になりますが、バイクに「非日常的な刺激」や「扱いづらさをねじ伏せる征服感」を求めているライダーにとっては、あまりにも優等生すぎて「退屈」に映ってしまうのです。

特に、過去にリッタークラスのスーパースポーツや、ピーキーな特性の2ストローク車などに乗っていた経験がある方、あるいは強烈な加速Gによるアドレナリンの放出を期待している方の場合、納車から数ヶ月もすれば「刺激が足りない」と感じ始めるリスクが高いでしょう。「街乗りでは最高だけど、ワインディングで攻めると何か物足りない…」という感想は、このエンジンがあまりにも完璧に調律されすぎているが故の贅沢な悩みとも言えます。

ここがポイント

「扱いやすい=刺激が少ない」という側面も。ドラマチックなパワー感や、回転上昇に伴う劇的な変化を求める人には物足りない可能性があります。

排気音が耕運機みたいでつまらない

ネット検索でMT-07の評判を調べると、必ずと言っていいほど目にするのが「音が悪い」「耕運機サウンド」という酷評です。これは、270度クランク特有の「ドコドコ」という不等間隔爆発のリズムと、メーカー純正マフラーの過剰なまでの消音性能が組み合わさった結果生じる、避けられない評価です。

近年のバイクは、ユーロ4やユーロ5といった非常に厳しい騒音規制(および排ガス規制)に対応しなければなりません。そのため、MT-07の純正マフラーには巨大な膨張室が設けられており、排気音の音量を徹底的に抑え込んでいます。その結果、エンジン内部で発生している力強い爆発音はライダーの耳に届く前に減衰され、代わりにタペット音やカムチェーンの駆動音といった機械的なノイズ(メカノイズ)ばかりが耳につくようになってしまうのです。

アイドリング時の「ポポポポ…」という軽く乾いた音は、大型バイクらしい「腹に響く重低音」や「猛々しい咆哮」を期待していたユーザーにとって、まるでスーパーカブの親玉か、あるいは農機具のエンジンのような音に聞こえてしまい、所有欲が満たされない大きな要因となります。「見た目はストリートファイターで格好いいのに、音がショボすぎて萎える」という後悔は、納車日にエンジンを掛けた瞬間に発生する最も初期の失望感かもしれません。

ただし、希望はあります。この「音」に関する不満は、マフラーをアクラポビッチやヨシムラ、OVER RACINGなどの社外品に交換することで劇的に改善されるポイントでもあります。マフラーを変えて排気の抜けを良くすると、CP2エンジンは本来のV型2気筒のような荒々しいパルス感を剥き出しにし、「これが同じバイクか?」と疑うほどエモーショナルなサウンドを奏でてくれます。つまり、純正マフラーでの音は「仮の姿」であり、カスタムするための余白が残されていると捉えることもできるのです。

高速ツーリングで疲れる風圧の問題

高速ツーリングで疲れる風圧の問題
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MT-07は「ネイキッド(裸)」というジャンルのバイクなので、カウル(風防)がないことは購入前から分かっているはずです。しかし、いざ所有して高速道路を走ってみると、その風圧による疲労度は想像を絶するものがあり、「これほど疲れるとは思わなかった」と後悔するユーザーが後を絶ちません。その最大の理由は、MT-07特有のライディングポジションにあります。

MT-07のハンドル位置は比較的高く、かつ手前に引かれた設定になっています。これにより、ライダーの上体はほぼ垂直に起きた「殿様乗り」に近い姿勢となります。この姿勢は、街中での視界確保やUターンなどの取り回しにおいては非常に楽でメリットが大きいのですが、高速道路で時速100km巡航をする場面では、前方からの猛烈な走行風を、胸部から腹部にかけての広範囲な「面」でまともに受け止めることになります。

風圧に抗って上体を維持するために、ライダーは無意識のうちに腹筋と背筋を緊張させ続け、さらに風で飛ばされそうになる身体を支えるために腕にも力が入ります。この状態が1時間、2時間と続くと、首、肩、腰への疲労が深刻なレベルで蓄積し、ツーリング先の宿に着く頃には「もうバイクに乗りたくない」と思うほど消耗してしまうことも珍しくありません。後付けのスクリーンを装着することである程度は緩和できますが、カウル付きモデルのような快適性には到底及びません。

注意点

もしあなたの主な用途が、片道300kmを超えるようなロングツーリングや高速道路を使った移動であるなら、同じエンジンを積みながらフルカウルを装備した兄弟車「YZF-R7」や、アドベンチャースタイルの「Tracer(トレーサー)」シリーズを検討候補に入れるべきかもしれません。

サスペンション性能への不満と失敗

個人的に、MT-07を購入したライダーが最も深刻に悩み、そして最終的に手放す原因になりやすい最大の「後悔」ポイントが、この足回りの弱さだと分析しています。MT-07は「圧倒的な低価格」で市場に投入することを使命として開発されましたが、そのコストダウンのしわ寄せが最も色濃く出ているのがサスペンションなのです。

特に2014年から2017年頃の初期〜中期モデルに採用されている正立式フロントフォークは、構造が非常にシンプルで、内部のダンピング(減衰力)を発生させる機構が安価な仕様になっています。このため、街乗りの低速域では路面の凸凹を柔らかく吸収してくれて乗り心地が良いのですが、ペースを上げてワインディングを走ったり、強めのブレーキングを行ったりすると、途端にボロが出始めます。

ブレーキを握るとフロントフォークが急激に沈み込む「ノーズダイブ」が激しく発生し、コーナーの立ち上がりでアクセルを開けると、今度はリアサスペンションが踏ん張りきれずに沈み込みすぎ、車体が「フワフワ」「ボヨンボヨン」と揺れ続ける挙動(ポーゴスティック現象)が現れます。スポーツライディングを楽しみたいと思った時に、車体がライダーの操作についてこない感覚や、タイヤが路面を捉えているインフォメーションの希薄さを感じ、「もっと良い足回りのバイクにすればよかった」と後悔するケースが非常に多いのです。

2018年のマイナーチェンジ以降は、スプリングレートや減衰特性が見直され、リアサスに調整機構が付くなど改善はされていますが、それでも「MT-09」や「YZF-R7」のようなスポーツ特化の足回りと比較すると、依然としてコンフォート寄り(快適性重視)の設定であることに変わりはありません。本格的な走りを楽しむには、サスペンションの中身を社外品(オーリンズやKYBのキットなど)に入れ替えるなどの高額な投資が必要になる可能性があることを覚悟しておく必要があります。

お尻が痛いシート形状のデメリット

お尻が痛いシート形状のデメリット
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「ツーリングに行くと、開始1時間ですぐにお尻が痛くなる」という悲痛な叫びも、MT-07オーナーの間では通過儀礼のように語られる共通の悩みです。これには、シートの「ウレタン密度」と「形状」の2つの要因が関係しています。

まず、MT-07の純正シートは、スポーティーな操作性を確保し、かつ足つき性を良くするために、クッションの厚みが薄く設計されています。さらに、使われているウレタン素材が高反発で硬めであるため、座り心地はお世辞にも良いとは言えません。加えて、シートの前方が極端に絞り込まれた形状をしているため、ライダーが座った時に体重を支える座面の面積が非常に狭くなってしまいます。

この「硬い・薄い・狭い」という三重苦により、走行中は体重による圧力が座骨(お尻の骨)の一点に集中し続けます。その結果、血流が悪化して激痛が走り、楽しいはずのツーリングが「次、いつ休憩できるか」ばかりを考える苦行に変わってしまうのです。多くのユーザーが、納車後にゲルザブ(衝撃吸収材)を埋め込んだり、K&H製などの高価なコンフォートシート(5万円〜6万円程度)に交換したりして対策を講じていますが、購入後の追加出費がほぼ確実に必要になる部分だと認識しておいた方が良いでしょう。このコストを見積もらずに購入すると、「安く買ったはずなのに、快適にするためにお金がかかる」という新たな後悔を生むことになります。

MT-07で後悔しないための対策法

MT-07で後悔しないための対策法
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ここまでMT-07のネガティブな部分を包み隠さずお伝えしてきましたが、誤解しないでいただきたいのは、これらを事前に理解し、許容できるのであれば、MT-07は非常に魅力的で楽しいバイクだということです。ここからは、購入後に「失敗した」と感じないために、契約前にチェックしておくべき比較対象や、心構えについてご紹介します。

MT-09と比較して失敗するケース

MT-09と比較して失敗するケース
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MT-07を購入検討する際、避けて通れないのが上位モデルである「MT-09」との比較です。新車価格で見ると、その差はおおよそ20万円〜30万円程度(年式やキャンペーンによりますが)。これを「大きい」と見るか「小さい」と見るかが、後悔の分かれ道となります。

比較項目 MT-07 (CP2) MT-09 (CP3)
エンジン形式 直列2気筒 直列3気筒
最高出力 約73 PS 約119 PS
電子制御 ABSのみ(基本) 6軸IMU、トラコン、QSなど全部入り
フレーム・足回り スチールフレーム、正立フォーク アルミフレーム、倒立フォーク

表を見れば分かる通り、価格差以上に「中身」の差は圧倒的です。MT-09は100馬力オーバーのモンスターマシンであり、最新の電子制御デバイスも満載です。予算を節約するために「最初は700ccくらいで十分だろう」と妥協してMT-07を選んだ結果、ツーリング仲間が乗るMT-09の強烈な加速を目の当たりにしたり、最新機能の利便性を自慢されたりした時に、「やっぱりもう少し頑張ってあっちを買えばよかった…」と強烈なコンプレックスを感じてしまうのは、非常によくある話です。

カタログスペックの数値や、「最新のテクノロジー」という言葉に少しでも所有欲を感じるタイプの方なら、無理をしてでも最初からMT-09を選んだ方が、結果的に長く乗れて幸せになれる確率は高いでしょう。逆に、「電子制御なんていらない、シンプルに操りたい」という確固たる意志があるなら、MT-07は最高の選択肢になります。

身長による足つきと窮屈さの確認

身長による足つきと窮屈さの確認
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MT-07の最大の武器は「400ccクラス並みのコンパクトさと軽さ」ですが、これが体格の大きなライダーにとっては「窮屈さ」というデメリットに反転します。シート高は805mmと標準的ですが、ステップの位置が比較的高めに設定されているため、身長180cm前後の方が乗ると膝の曲がり角がきつくなり、長時間の走行で膝や股関節に痛みが出やすくなります。

また、車体が非常にスリムであるため、大柄な男性がまたがるとバイクが小さく見えてしまい、全体のプロポーションバランスが悪く見える(いわゆる「サーカスの熊」状態)ことを気にするユーザーも少なくありません。「自分にはバイクが小さすぎるのではないか?」という疑念は、一度気になりだすと愛着を削ぐ原因になります。

逆に、小柄なライダーや女性、あるいは体格に自信のない方にとっては、このスリムさと軽さは何物にも代えがたい「安心感」につながります。カタログスペックの数値だけで判断せず、必ずショップで実車にまたがり、ライディングポジションを取った状態で鏡を見て、自分の体格との相性を確認することを強くおすすめします。

最高速や加速性能の限界を知る

「大型バイクに乗る=異次元の加速を手に入れる」というイメージを抱いていると、MT-07のパワーフィールには少し拍子抜けするかもしれません。最高出力は約73馬力。日本の公道や高速道路の制限速度内で走るには十分すぎる性能ですが、リッターバイクのような「どこまでも際限なく伸びていく加速」や「恐怖を感じるほどのパワー」はありません。

特にサーキット走行会に参加したり、超高速域でのクルージングを試みたりした場合、エンジンが早い段階でレブリミット(回転数の限界)に達してしまい、高回転域での伸びしろのなさに「頭打ち感」を感じることになります。MT-07はあくまで「中低速トルク」を重視して設計されたストリートファイターであり、最高速を競うマシンではないのです。

もしあなたが「大型に乗るなら、圧倒的なパワーで周囲を置き去りにしたい」という征服欲や、最高速アタックのような楽しみ方を求めているのなら、このバイクのパワーバンドの狭さは致命的な後悔の種になり得ます。「必要十分な速さを、使い切って楽しむバイク」であると割り切れるかが、満足度を左右する重要な鍵となります。

燃費と維持費の良さは大きな魅力

ここまで様々な「後悔」のリスクを挙げてきましたが、それらを全て帳消しにして余りあるほどの、MT-07ならではの強烈なメリットがあります。それはクラス常識を覆すほどの圧倒的な経済性です。

お財布に優しい理由
  • 驚異の実燃費: 街乗りでも20〜23km/L、ツーリングでは30km/L近く伸びることも珍しくありません。これは250ccクラスに迫る数値です。
  • レギュラー仕様: 多くの大型バイクがハイオク指定である中、MT-07はレギュラーガソリン仕様。ガソリン価格が高騰する現代において、この差は維持費に大きく響きます。
  • 消耗品の安さ: 車重が軽くパワーも穏やかなので、タイヤやチェーン、ブレーキパッドの減りが遅く、交換サイクルが長いためランニングコストが低く抑えられます。

「サスペンションが少し安っぽくても、これだけ安く遊べるなら許せる!」と思えるほど、このランニングコストの低さは優秀です。ガソリン代やタイヤ代を気にせず、毎週末のようにツーリングに出かけられる気軽さは、高級な高性能バイクでは味わえない、MT-07ならではの特権と言えるでしょう。詳細なスペックや燃費データについては、メーカー公式サイト(出典:ヤマハ発動機『MT-07 製品紹介』)でも確認できます。

MT-07を購入して後悔しない人の特徴

最終的に、MT-07を買って後悔せずに、その魅力を最大限に楽しめるのはどのような人なのでしょうか。市場分析とユーザーの声に基づくと、以下のタイプの方にとっては、MT-07は「人生最高の相棒」になるポテンシャルを秘めています。

  • 大型バイクデビューの方・リターンライダーの方: 軽くて足つきが良く、エンジンのレスポンスも素直なため、大型バイク特有の「重さ・怖さ」を感じることなく、純粋に運転技術を磨くことができます。
  • 街乗りや通勤にも使いたい実用派: 燃費が良く、取り回しも原付感覚で気軽に行えるため、日常の足として毎日乗ってもストレスがありません。
  • カスタム・ビルドを楽しみたい方: 車両価格が安いため、浮いたお金を自分好みのサスペンションやマフラー、外装パーツへのカスタムに回すことができます。「安く買って、自分色に染める」という楽しみ方には最適な素材です。

「mt07 後悔」という検索キーワードに惑わされすぎず、自分の用途やバイクに求める価値観と、MT-07の特性がマッチしているかを冷静に見極めてみてください。その「欠点」さえも「個性」として愛せるなら、これほどライダーに寄り添ってくれる、素直で楽しいバイクは他になかなかありませんよ。

MT-03を買って後悔?車検や維持費の真実と250ccとの違いhttps://luxbike-blog.net/mt03-koukai-ijihi-250cc-hikaku/

※本記事の情報は一般的な傾向やユーザーレビューの分析に基づいています。最終的な購入判断は、ご自身の試乗体験やショップへの相談を通じて行ってください。