こんにちは。LuxBike Blog編集部です。
バーグマンストリート125EXに関する評判やインプレを調べていて、最高速が遅いとか足つきが悪いといったネガティブな情報を見て不安になっている方もいるかもしれませんね。せっかく新しいバイクを買うなら絶対に失敗したくないですし、自分に合っているか慎重になるのは当然のことです。特に原付二種クラスは人気のPCXやNMAXなど強力なライバルが多いので、比較すればするほど迷ってしまうこともあるでしょう。
実は、このバイクに対する「後悔」の多くは、購入前の「期待値のズレ」から生じています。「バーグマン」という名前が持つ高級GT(グランドツーリング)のイメージと、実際の「都市型コミューター」としての性格の間にギャップがあるのです。しかし、その特性を正しく理解さえしていれば、これほど日常に寄り添ってくれる頼もしい相棒はいません。
今回は実際にこのモデルがどのような特性を持っていて、どういったユーザーだと後悔してしまう可能性があるのか、逆にどのような人にピッタリなのかを、私の実体験や市場の声を交えながら徹底的に掘り下げてみたいと思います。
- 動力性能や最高速に関するリアルな実情と限界
- 足つき性の悪さや収納スペースなど具体的なデメリット
- PCXなどのライバル車と比較した際の決定的な違い
- このバイクを選ぶべき人とやめておいた方がいい人の特徴
バーグマンストリート125EXで後悔する主な原因

「バーグマン」という名前を聞くと、どうしてもビッグスクーター(バーグマン200や400)の優雅でパワフルな走りをイメージしてしまいますよね。スズキのフラッグシップスクーターの系譜ですから、期待が高まるのも無理はありません。でも、実際に購入した人の声を聞くと、そのイメージと現実のギャップに戸惑っているケースが少なくありません。まずは、具体的にどんなポイントで「しまった!これは計算外だった…」と感じやすいのか、そのネガティブな要素を包み隠さず見ていきましょう。
最高速度が遅い?動力性能の限界

まず最初に直面する、そして最も多くのライダーが口にするのが「最高速度と加速の伸び」に関する壁です。バーグマンストリート125EXに搭載されているSEP-αエンジンの最高出力は8.3馬力(6.1kW)です。この数字を見てピンと来ない方もいるかもしれませんが、ライバル車と比較するとその差は歴然です。例えばホンダのPCXは12.5馬力、ヤマハのNMAXは12馬力あります。つまり、ライバル達に比べて約1.5倍ものパワー差をつけられているのが現実なのです。
街中を時速40km〜50kmでトコトコ走る分には、軽量な車体と低速トルクのおかげで軽快そのものです。むしろ信号ダッシュの最初の数メートルは驚くほど速いと感じるでしょう。しかし、問題は「流れの速いバイパス」や「幹線道路」に出た時です。時速60kmを超えたあたりから加速の勢いが鈍り始め、時速80kmに到達する頃にはエンジンがかなり唸りを上げます。
実用的な最高速度はおおよそ90km/h程度と言われていますが、そこまで引っ張るには長い直線が必要ですし、エンジンへの負荷も相当なものになります。余裕を持って巡航できるのは、せいぜい60〜70km/hあたりまでだと考えた方が精神衛生的にも良いですね。もしあなたが「バイパスを車の流れに乗ってガンガンリードしたい」とか「大型トラックに追い越されるのが怖いから、追い越し車線を走れるパワーが欲しい」と考えているなら、このパワー不足は間違いなく後悔の原因になります。
あくまで都市型のコミューターとして設計されているため、高速巡航性能を求めるなら水冷エンジン搭載車の方が幸せになれる可能性が高いです。無理をしてエンジンを回し続けると、振動や熱ダレの原因にもなりかねません。
足つき性の悪さとシート幅の影響

次に意外な落とし穴なのが「足つき」です。カタログスペック上のシート高は780mmと記載されています。これ、数字だけ見れば「まあ普通かな?PCXより少し高い程度でしょ?」と思ってしまいがちですが、ここに大きな罠があります。
実際に跨ってみると、「あれ?思ったより足が着かない…というか、地面が遠い!」と驚く人が続出しています。これには明確な理由があって、一つは座り心地を重視してシートの座面が幅広に作られていること。もう一つは、足元のフロアボードが左右に張り出している形状が影響しています。この二つの要素が組み合わさることで、ライダーの太ももが外側に押し広げられ、足を真下にスッと下ろすことができず、少しガニ股気味に足を出さないといけないんですね。
身長170cmくらいの男性でも、深く座るとかかとが浮くことがあります。これが身長160cmくらいの方、特に女性や小柄なライダーだと、片足のつま先がツンツンになることも珍しくありません。日常の通勤で使う場合、信号待ちのたびに車体を斜めに傾けて支えたり、お尻をずらして足をついたりするのは、想像以上にストレスが溜まるものです。
特に雨の日や、路面が砂利で滑りやすい場所、あるいは強風が吹いている日などは、この「足つきの悪さ」が立ちゴケのリスクに直結します。「125ccのスクーターなんて、どれも似たようなサイズ感でしょ?」と高を括って試乗せずに買うと、納車されたその瞬間に「扱いきれないかも…」と青ざめることになるかもしれません。
シート下収納にヘルメットが入らない

スクーターの最大の利点とも言える「シート下の収納スペース(メットイン)」ですが、ここにも購入後に気づく悲しい現実が潜んでいます。バーグマンストリート125EXのシート下容量は約21.5L確保されていますが、この「21.5L」という数字だけを信じてはいけません。
容量以上に問題なのが、その「底の浅さ」です。ボディのデザインをスタイリッシュにするため、あるいはエンジンの配置の関係上、収納スペースの深さが十分に取られていないのです。その結果どうなるかというと、フルフェイスヘルメットはまず入りません。それどころか、ディフューザー(エアロパーツ)が付いているような少し大きめのスポーツジェットヘルメットでも、シートが閉まらないケースが多発しています。
「バイクを降りたら、ヘルメットとグローブをシート下に放り込んで、手ぶらで買い物に行こう」というスマートな運用を夢見ていると、納車日に絶望することになります。無理やりシートを押し込めば閉まる場合もありますが、ヘルメットに傷がついたり、シートベースが変形したりする原因になるのでおすすめできません。結局、ヘルメットホルダーを使って車体の外にぶら下げるか、常に持ち歩く羽目になり、「こんなはずじゃなかった」と嘆くことになります。
ヘルメット収納を重視するなら、必ず自分のヘルメットを持参して実車で確認するか、後述するトップケースの導入を前提に考えましょう。特にSHOEIやAraiのしっかりしたモデルを使っている方は要注意です。
PCXと比較した時のスペック差
購入検討時にどうしても比較対象に挙がるのが、このクラスの絶対王者であるホンダ・PCXです。価格差は約4〜5万円ありますが、スペック表を見比べて「本当にこっちでいいのかな…」とため息をついてしまうこともあるでしょう。ここでは、その決定的な違いを少し詳しく見てみます。
| 項目 | バーグマンストリート125EX | PCX (JK05) |
|---|---|---|
| エンジン形式 | 空冷 OHC 2バルブ | 水冷 OHC 4バルブ |
| 最高出力 | 8.3 PS | 12.5 PS |
| リアブレーキ | ドラムブレーキ | ディスクブレーキ |
| ABS装備 | なし(CBSのみ) | あり(1ch ABS) |
| トラクション制御 | なし | あり(HSTC) |
PCXは水冷エンジンを採用しており、熱ダレに強く、高回転までスムーズに回ります。さらに4バルブ化によって吸排気効率が高められており、これが圧倒的なパワー差を生んでいます。一方のバーグマンは空冷エンジンの2バルブ。これは構造がシンプルで軽量、整備性が良いというメリットがある反面、絶対的な性能ではどうしても劣ります。
また、安全装備の面でも差があります。PCXがリアディスクブレーキとABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、さらには滑りやすい路面での空転を防ぐトラクションコントロールまで標準装備しているのに対し、バーグマンはリアドラムブレーキで、ABSも非搭載(前後連動のCBSのみ)です。雨の日のマンホールや白線の上で急ブレーキをかけた時の安心感は、やはり最新の電子制御を持っているPCXに軍配が上がります。
「あっちにしておけば、もっと楽に遠くまで行けたかな…」「雨の日も怖くなかったかな…」と、隣の芝生が青く見えてしまうのは、ある種仕方のないことかもしれません。スペック至上主義の方や、安全性に一切の妥協をしたくない方にとっては、この「枯れた技術(空冷・ドラム)」という構成が、購入後の後悔ポイントになり得るのです。
(出典:スズキ株式会社 バーグマンストリート125EX 主要諸元)
坂道やタンデム走行のパワー不足
125ccスクーターにとって鬼門とも言えるのが、「急な上り坂」と「二人乗り(タンデム)」のシチュエーションです。バーグマンストリート125EXは、軽量な車体と低中速トルク重視のエンジンセッティングのおかげで、街中のちょっとした坂道程度なら、ソロライディングであれば意外とグイグイ登ってくれます。
しかし、物理的なパワーの限界は確実に存在します。例えば、ショッピングモールの立体駐車場の急なスロープや、山間部の長い峠道で、後ろに大人を乗せて走る場面を想像してみてください。アクセルを全開にしてもエンジンが唸るだけで、速度計の針はじわじわと下がっていき、時速30km〜40kmを維持するのがやっと…という状況に陥ることは避けられません。
PCXやNMAXなら、水冷エンジンの粘り強さでもうひと踏ん張りできる場面でも、バーグマンでは「ごめん、ちょっと重いかも…」と気を使わざるを得ないのです。もしあなたが「週末はパートナーを後ろに乗せて、景色の良い山へドライブに行きたい」とか「自宅の周辺が激坂だらけ」といった環境にいるのであれば、もう少し排気量の大きい150ccクラスを検討するか、パワーに余裕のある水冷エンジン車を選んだ方が無難かなと思います。
バーグマンストリート125EXで後悔しない選び方

ここまでネガティブな要素ばかりを列挙してしまいましたが、ではバーグマンストリート125EXは「ダメなバイク」なのでしょうか?答えは明確に「No」です。むしろ、自分の用途とこのバイクの特性が合致さえすれば、これほど頼もしくて、経済的で、所有感を満たしてくれる相棒は他にいないと断言できます。
ここからは視点を変えて、スペック表の数値だけでは見えてこない、このバイクの真価を発揮できる「後悔しない選び方」と、独自のメリットについて詳しくお話しします。
実燃費性能と維持費のコスパ

最近はガソリン価格の高騰が続いており、日々の移動手段としてのランニングコストは切実な問題ですよね。ここでバーグマンストリート125EXが、ライバルたちを圧倒する本領を発揮します。搭載されているスズキの最新エンジン「SEP-α(Suzuki Eco Performance Alpha)」は、とにかく燃費性能が優秀なんです。
カタログ値(WMTCモード)でも53.8km/Lという素晴らしい数値を叩き出していますが、驚くべきはユーザーの実燃費報告です。丁寧な運転を心がければ、リッター50kmを超えることは決して珍しくありませんし、ストップ&ゴーの多い通勤ラッシュで雑に使っても、リッター45kmを下回ることは稀です。燃料タンクは5.5Lと決して大きくありませんが、一度の給油で250km以上は余裕で走れる計算になります。
例えば、片道10kmの通勤で月に20日使うとしましょう。月間走行距離は400km。リッター50kmで走れば、消費するガソリンはわずか8リットル。ガソリン代が170円だとしても、月の燃料代はたったの1,360円で済んでしまうのです。さらに、車両本体価格もPCXより安く抑えられており、オイル交換などのメンテナンス費用も安価です。「維持費の安さ」と「経済性」を最優先する人にとって、これ以上の選択肢はないと言えるでしょう。
信号待ちでエンジンが自動停止する「アイドリングストップシステム」も標準装備されています。無駄な燃料消費をカットできるだけでなく、信号待ちの間の振動や騒音から解放されるため、疲れにくいというメリットもあります。
フラットフロアの足元と積載性
これこそが、PCXやNMAXには絶対に真似できない、バーグマンストリート125EX最大の武器です。足元が平らな「フラットフロア」であること。この恩恵は、実際に使い始めると計り知れないものがあります。
まず、乗り降りのしやすさが段違いです。センタートンネル(足元の盛り上がり)があるバイクのように足を高く上げて跨ぐ必要がないので、スーツのズボンが突っ張ることもありませんし、スカートを履いた女性でも気兼ねなく乗り降りできます。そして何より、「足元に荷物が置ける」という圧倒的な利便性があります。
スーパーで買い込んだ重たいエコバッグ、仕事で使うブリーフケース、あるいは季節外れの灯油タンクや、宅配便で届いたダンボール箱だって、サッと足元に置いて運べちゃいます。純正で装備されている「コンビニフック」も絶妙な位置に配置されており、袋が暴れないように固定できる点も秀逸です。
さらに、ライディングポジションの自由度も魅力です。足を前に投げ出してクルーザーのようにリラックスして乗ることもできますし、手前に引いて椅子のように行儀よく座ることもできます。長距離を走る際、ずっと同じ姿勢だとお尻が痛くなりますが、足の位置を変えられるだけで疲労感は劇的に軽減されます。この自由度の高さは、一度味わうと「もうセンタートンネルのあるバイクには戻れない…」という人が続出するほどの魔力を持っています。
アドレス125との違いや価格差

同じスズキのラインナップには、さらに安価な兄弟車「アドレス125」も存在します。「エンジンも似ているし、安いアドレスで十分なんじゃない?」と迷う方もいるかもしれませんが、バーグマンには価格差(約4〜5万円)以上の質感が確実に詰め込まれています。
特に感動するのが、スズキのスクーターで初採用された「サイレントスターターシステム」です。従来のスクーターのように、エンジンをかける時に「キュルキュル!ズドン!」という大きな音がしません。スイッチを押した瞬間、魔法のように静かに、スッとエンジンが目覚めます。深夜や早朝の住宅街で出発する際も、近所迷惑を気にする必要がありません。
また、外観のデザインも大きく異なります。アドレス125がクラシカルで可愛らしいデザインなのに対し、バーグマンはマットカラーや高級感のある塗装、流麗なボディラインを採用しており、所有欲を満たす「ラグジュアリー感」が漂っています。アイドリングストップ機能の有無や、メーター周りの質感など、毎日目にする部分だからこそ、「ちょっと良いもの」を選んでおく満足感は大きいです。「アドレスでは少し安っぽくて満足できないけど、PCXほど大柄で高価なバイクは必要ない」という、絶妙な隙間を完璧に埋めてくれる存在なのです。
12インチタイヤの操作性と評判
足回りの設計にも、スズキのこだわりが見て取れます。バーグマンストリート125EXは、アドレスシリーズで採用されている10インチより大きく、PCXの14インチより小さい「前後12インチホイール」を採用しています。
これがまた、日本の道路事情において絶妙なバランスを実現しているんです。10インチタイヤだと小回りは利きますが、タイヤ径が小さいため路面の段差やマンホールの凹凸を拾いやすく、ガタガタと衝撃が体に伝わりがちです。逆に14インチだと、直進安定性は抜群ですが、駐輪場での取り回しが少し重くなり、小回りが利きにくくなる側面があります。
その中間を行く12インチは、「街中でのキビキビとした操作感」と「幹線道路での走行安定性」を高い次元で両立しています。路面のちょっとした荒れも不安なく越えられますし、狭い路地裏でのUターンやすり抜けも苦になりません。「安定志向にはなっているけど、安定しすぎて重くならない」という、都市部を走り回るコミューターとして最適解とも言えるサイズ設定なのです。
純正リアキャリアなどの装備評価
先ほどのセクションで「シート下収納が狭い」という手痛いデメリットを挙げましたが、スズキはちゃんとその解決策を標準で用意してくれています。なんと、最初から頑丈なリアキャリアが標準装備されているのです。
通常、他のメーカーのスクーターであれば、リアボックス(トップケース)を取り付けるためには、まず別売りのキャリアを購入し、カウルに穴あけ加工をして、工賃を払って取り付けて…という手間と追加費用(数千円〜1万円以上)がかかります。しかしバーグマンなら、納車されたその日に、GIVIやSHADといった社外品の汎用トップケースをポン付けすることが可能です。
30L〜40Lクラスのボックスを一つ追加すれば、シート下の狭さなんて全く気にならなくなります。ヘルメットはボックスに入れ、雨具や小物はシート下に入れるという使い分けができれば、むしろ最強の積載マシンへと変貌します。最初から「箱を付ける前提」でパッケージングされていると考えれば、ユーザーに追加負担をさせない、非常に合理的でお財布に優しい設計だと言えるでしょう。
結論:バーグマンストリート125EXで後悔する人
ここまで詳しく解説してきましたが、最後にまとめとして、バーグマンストリート125EXを購入して「後悔する人」と、逆に「大満足する人」の条件を明確にしておきましょう。
【後悔する可能性が高い人】
・バイパスや流れの速い幹線道路を、常に80km/h以上でかっ飛ばしたい人
・身長が低めで、足つき性に絶対の安心感を求める人(特に厚底ブーツ等の対策をしない場合)
・スマートキーやABS、トラクションコントロールなど、最新のデジタル装備がないと不安な人
・「とりあえず一番売れているバイクなら間違いない」という理由だけで選ぼうとしている人
【満足度が非常に高い人】
・通勤や買い物など、片道15km圏内の街乗りがメイン用途の人
・足元に荷物を置けるフラットフロアの利便性が絶対に捨てられない人
・車両価格と維持費を極力抑えつつ、安っぽくない大人のデザインのバイクが欲しい人
・リアボックスを付けることに抵抗がなく、実用性重視のカスタムを楽しめる人
もしあなたが後者の条件に多く当てはまるなら、バーグマンストリート125EXは、あなたの生活の質をぐっと引き上げてくれる最高の相棒になってくれるはずです。スペック表の数字だけでは分からない「日常の使い勝手の良さ」や「エンジンの上質なフィーリング」を、ぜひ実車で確かめてみてくださいね。少しでも不安がある方は、一度お近くのショップで跨ってみることを強くおすすめします!
※本記事の情報は執筆時点のものです。正確なスペックや最新の価格については、必ずメーカー公式サイト等をご確認ください。また、足つき性や走行感覚には個人差がありますので、最終的な判断はご自身で試乗等を行ってください。
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