こんにちは。LuxBike Blog編集部です。

憧れのバイクを複数所有することは、多くのライダーにとって夢のような話ですよね。「ツーリング用に大型バイク、街乗り用に小回りの利くセカンドバイクがあれば、バイクライフは完璧になるはず!」と想像するだけでワクワクします。

しかし、その情熱のまま勢いで増車してしまい、いざ実行するとなると「バイク二台持ち 後悔」という検索キーワードのように、現実に直面して頭を抱えるライダーが後を絶ちません。実際には、単純に二倍になる税金や保険料といった維持費の負担が増えるだけでなく、限られた置き場所の問題や、乗らない期間ができることによるバッテリー上がりなどのメンテナンス管理に悩まされるケースも少なくないのです。

この記事では、増車してから「こんなはずじゃなかった……」と青ざめないために、事前に知っておくべきリアルな実情と、それでも二台持ちを実現したい方のためのメリットを最大化するポイントについて、私自身の経験も踏まえてお話しします。

  • 二台持ちで具体的に倍増する維持費とコストの内訳
  • ファミリーバイク特約を活用した賢い保険料の節約方法
  • 乗らない期間が増えることで発生する車両トラブルのリスク
  • ライフスタイルに合わせた最強の組み合わせと車種選定

バイク二台持ちで後悔する前に知るべき維持費

二台持ちで具体的に倍増する維持費とコストの内訳
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「欲しいバイクが目の前にある!」「この出会いは運命だ!」その情熱だけで契約書にハンコを押して突っ走る前に、まずは冷静にコストと手間の現実を直視しておきましょう。二台持ちを始めた多くのライダーが後悔を感じる瞬間の多くは、想定以上の出費や、休日がメンテナンスだけで潰れていく管理の大変さに直面したときです。ここでは、夢の多頭飼い生活を始める前に知っておくべき、少しシビアな現実について徹底的に解説します。

二台持ちにかかる維持費の内訳と節約術

バイクを二台所有するということは、単純計算で維持費が二倍になると思われがちですが、実際には「乗る頻度」に関わらず発生する固定費と、走行距離に応じた変動費にはっきり分かれます。ここをあやふやにしたまま増車すると、毎年の春先に届く納税通知書の束を見て絶望することになりかねません。

まず、絶対に避けて通れない固定費の代表格が軽自動車税(種別割)です。これはバイクに乗っても乗らなくても、毎年4月1日時点の所有者に必ず課税されます。排気量によって税額が決まっており、一時抹消登録などをしない限り逃れることはできません。

【排気量別】軽自動車税の年額一覧
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【排気量別】軽自動車税の年額一覧

車種区分(排気量) 年税額 備考
原付一種(〜50cc) 2,000円 白ナンバー
原付二種乙(51cc〜90cc) 2,000円 黄ナンバー
原付二種甲(91cc〜125cc) 2,400円 桃ナンバー
軽二輪(126cc〜250cc) 3,600円 車検なし
小型二輪(251cc〜) 6,000円 車検あり

※上記は標準税率です。自治体によって異なる場合があります。(出典:総務省『地方税制度|自動車税・軽自動車税種別割』

例えば、大型バイク(6,000円)と250ccクラス(3,600円)を二台持ちする場合、毎年9,600円の税金が自動的に発生します。これに加えて、車検が必要な排気量(251cc以上)のバイクを二台持つ場合、2年ごとの車検費用、重量税、そして自賠責保険料もダブルでのしかかってきます。

二台持ちで負担が増える主な費用まとめ

  • 軽自動車税: 排気量に応じて毎年春に必ず発生する固定費。
  • 重量税・自賠責保険: 車検時や契約更新時に必須。複数年契約で割引はあるが、初期費用がかさむ。
  • 消耗品費: タイヤ、エンジンオイル、バッテリー、チェーンなど。乗らなくても経年劣化する部品は多い。
  • 駐車場代: 自宅に十分なスペースがない場合は、外部に二台分の契約が必要。

ここで重要なのが「節約術」です。全てをお店任せにしていると維持費は膨れ上がる一方ですが、いくつかの工夫でコストを抑えることは可能です。

最も効果が大きいのはユーザー車検の活用です。通常、ショップに依頼すると4万円〜6万円程度かかる車検費用ですが、自分で陸運局に持ち込めば、重量税と自賠責保険料、検査手数料を含めても2万円以下で済む場合があります(整備費用を除く)。二台持ちライダーにとって、この差額は非常に大きいです。

また、消耗品に関しても、ネット通販で安く購入して自分で交換する、あるいは持ち込み交換に対応してくれるショップを探すといった努力が必要です。「何とかなる」という楽観的な予測ではなく、具体的な年間維持費をシミュレーションし、財布の紐をどこで締めるかを計画しておくことが大切ですね。

任意保険とファミリーバイク特約の活用

任意保険とファミリーバイク特約の活用
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二台持ちを検討する際、最も頭を悩ませるのが任意保険(バイク保険)のコストです。自賠責保険だけでは補償額に限界があるため、万が一の事故に備えて対人・対物無制限の任意保険に加入するのは、責任あるライダーの義務とも言えます。

しかし、二台それぞれで独立した任意保険契約を結ぶと、年齢条件や等級にもよりますが、年間で数万円〜十数万円の固定費増となります。これは家計にとってかなりのインパクトですよね。

ここで二台持ちライダーの大きな味方となるのが、自動車保険やメインバイクの保険に付帯できる「ファミリーバイク特約」の存在です。

ファミリーバイク特約の仕組みとメリット

ファミリーバイク特約とは、契約者本人(または家族)が所有する車やバイクの保険にオプションとして追加できる特約です。この特約の最大の特徴は、「125cc以下(原付一種・二種)のバイクであれば、何台持っていようがすべて補償対象になる」という点です。

ファミリーバイク特約の強力なメリット

  • 年齢条件を問わない: 主契約に「35歳以上補償」などの条件があっても、特約の対象となる原付に乗る際は、年齢に関係なく補償されます(未成年の子供が乗る場合など)。
  • 等級に影響しない: 万が一、原付で事故を起こして保険を使っても、主契約の等級(ノンフリート等級)が下がらない「ノーカウント事故」として扱われるケースが大半です。
  • 台数無制限: 125cc以下のバイクを3台、4台と増やしても、一つの特約料金ですべてカバーされます。
  • 圧倒的な安さ: 一般的な任意保険を新規契約するよりも、大幅に安い保険料で済みます。

ただし、注意点もあります。ファミリーバイク特約には大きく分けて「自損傷害タイプ」と「人身傷害タイプ」の2種類があり、自身の怪我に対する補償内容が異なります。手厚い補償を求めるなら「人身傷害タイプ」を選ぶべきですが、保険料は若干高くなります。

また、当然ながら125ccを超えるバイクには適用されません。もしあなたが「大型バイク」と「250ccスクーター」の二台持ちを計画しているなら、この特約は使えず、二台とも独立した保険契約が必要になります。この「125ccの壁」は、維持費を考える上で非常に重要な分岐点となります。

ロードサービスが付帯していないケースも多いので、JAFやクレジットカード付帯のロードサービスで補うなど、トータルでのリスク管理を考える必要があります。

※保険の内容は契約プランや保険会社によって細部が異なります。必ずご自身の契約内容や各保険会社の公式サイトで正確な情報を確認してください。

片方に乗らないことで起きる不具合

片方に乗らないことで起きる不具合
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「今日は天気がいいからどっちに乗ろうかな?」とガレージの前で悩む……。これは二台持ちならではの至福の時間ですが、現実はそう甘くありません。仕事が忙しかったり、週末の天気が悪かったりして、結果としてどちらか一方のバイクが数週間、あるいは数ヶ月動かないまま「盆栽化(置物化)」してしまうことは、本当によくある話です。

バイクは機械です。適度に動かして熱を入れ、各部を循環させてあげないと、逆に調子を崩してしまいます。乗らない期間が長引くことで発生するトラブルは、想像以上に深刻です。

1. バッテリー上がりの常態化

最も頻発するのがバッテリー上がりです。特に最近のバイクは、イモビライザーや時計、各種センサーなどの電子制御によって、キーOFFの状態でも微弱な電力(暗電流)を消費し続けています。二週間も乗らなければセルの回りが弱くなり、一ヶ月放置すれば完全に沈黙することも珍しくありません。

二台持ちの場合、「メインバイクは元気だが、セカンドバイクはいざ乗ろうとしたらエンジンがかからない」という事態が頻発します。そのたびに充電器を繋いだり、ジャンプスタートを試みたりするのは大きなストレスです。

2. ガソリンの劣化とキャブレター詰まり

さらに恐ろしいのがガソリンの劣化です。長期間タンク内に留まったガソリンは酸化し、独特の異臭を放つようになります。さらに揮発成分が飛んでドロドロのワニス状になり、キャブレターの細い通路やインジェクターを詰まらせます。

こうなると、エンジンがかからないどころか、キャブレターのオーバーホール(分解清掃)が必要になり、修理費として数万円が飛んでいきます。「たまにはエンジンをかけなきゃ」という義務感だけで、乗る気もしないバイクのエンジンを暖気する……そんな本末転倒な日々が待っているかもしれません。

長期間乗らないことで発生するその他のリスク

  • タイヤの変形(フラットスポット): 常に同じ接地面で車重を支え続けることで、タイヤの一部が平らに変形し、走行時に振動が出るようになります。
  • オイル下がり: エンジン内部の油膜が完全に落ちてしまい、久しぶりの始動時にシリンダーやピストンを傷つける「ドライスタート」のリスクが高まります。
  • ブレーキの固着: ブレーキピストンやキャリパーのスライドピンが錆びつき、ブレーキが引きずった状態になることがあります。

二台の状態を健全に維持するためには、意識的にローテーションを組んで両方のバイクに乗る必要があります。「乗りたいから乗る」ではなく「調子を維持するために乗る」へと目的が変わってしまうと、それは趣味ではなく「管理業務」になってしまいます。

置き場所確保の難しさと駐車場の問題

置き場所確保の難しさと駐車場の問題
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増車を計画する際、意外と見落としがちで、かつ納車後に最大の後悔要因となり得るのが物理的なスペースの問題です。「詰めればなんとか入るだろう」という安易な予測は、日々のバイクライフに大きな影を落とします。

テトリス状態の車庫が生むストレス

一台なら余裕を持って停められていたスペースも、二台となるとパズルのような配置を強いられることがあります。例えば、ガレージの奥に停めたメインバイクを出すために、まず手前にあるセカンドバイクを一度道路に出し、メインバイクを出した後に、またセカンドバイクを戻す……といった作業が必要になるケースです。

文章にすると些細なことに思えるかもしれませんが、これが毎回となると想像以上に強烈なストレスになります。「ちょっとコンビニまで行こうかな」「天気がいいから一回りしてこようかな」と思っても、「あの入れ替え作業をするのが面倒くさい」という気持ちが勝ってしまい、結局乗りやすい方(手前にある方)ばかりに乗ってしまう。そして奥のバイクはますます乗らなくなり、バッテリーが上がる……という悪循環に陥ります。

駐車場についての記事はこちら👉バイクの駐車場どうしてる?失敗しない選び方と解決策を徹底解説

賃貸派には厳しいコストの壁

また、持ち家で敷地に余裕がある場合はまだ良いですが、賃貸アパートやマンションにお住まいの場合、駐輪場の契約がスムーズに二台分確保できるとは限りません。都市部のマンションでは「一世帯につき一台まで」という規約があることも多いのです。

その場合、近隣に月極のバイク駐車場やレンタルコンテナを借りる必要が出てきます。地域にもよりますが、屋根付きやセキュリティ完備の場所となれば、毎月5,000円〜15,000円程度の固定費が上乗せされることになります。年間で考えれば6万円〜18万円。この出費は、新しいパーツやウェアを買う予算を確実に削り取っていきます。

セキュリティ面でも、二台あるということは、それだけ盗難のリスクも二倍になるということです。地球ロック(固定物への施錠)をするためのアンカーが二台分確保できるか、カバーをかけるスペースはあるかなど、防犯上の死角も増えることを覚悟しなければなりません。

メンテナンス管理の手間と疲労感

バイクを愛する気持ちがあれば、メンテナンスも楽しみの一つ……と言いたいところですが、現実は甘くありません。洗車、チェーン清掃、注油、オイル交換、空気圧チェック。これらすべての作業が単純に二倍になります。

特に、性格の異なるバイク(例:オフロード車とスーパースポーツ)を持っている場合、必要な工具やケミカル、スタンドの種類も異なり、ガレージ内が物で溢れかえる原因にもなります。

休日は整備だけで終わる?

「今週末は二台とも洗車して、チェーンに油を差して、空気圧を見ておこう」と計画したとします。一台なら1〜2時間で終わる作業も、二台となれば半日仕事です。さらに、オイル交換の時期が重なったりすると、廃油の処理や買い出しも含めて休日の大半がつぶれてしまいます。

また、走行距離の管理も複雑になります。「あれ、こっちのバイク、前回オイル交換したのいつだっけ?」「ブレーキフルードそろそろ交換時期かな?」と、二台分のメンテナンス履歴を正確に把握しておく必要があります。

「週末は走りに行きたいのに、メンテナンスだけで終わってしまった」ということが続くと、次第に「バイクに乗る楽しさ」よりも「維持する義務感」のほうが大きくなり、バイクライフ自体が重荷に感じられてしまうかもしれません。

ご自身の自由時間と、整備に割ける時間のバランスを冷静に見極めることが大切です。もし時間が足りないなら、お金を払ってショップに任せる割り切りも必要ですが、それはそのまま維持費の増加に直結します。この「時間」と「お金」のトレードオフこそが、二台持ちライダーが常に直面するジレンマなのです。

バイク二台持ちで後悔しない最強の組み合わせ

ガレージで大型バイクとスクーターを前に楽しそうに話す日本人夫婦。理想の二台持ちのライフスタイル。
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ここまでネガティブな側面ばかりをお伝えしてきましたが、それでもやはり「二台持ち」には代えがたい魅力とロマンがあります。実際に多くのライダーが二台持ちを楽しんでいるのも事実です。

成功しているライダーに共通しているのは、闇雲に増車するのではなく、用途や排気量のバランスを上手く調整し、互いのデメリットを補完し合うような組み合わせを選んでいる点です。ここからは、後悔を最小限に抑えつつ、バイクライフの楽しさを倍増させる「最強の組み合わせ」について具体的に紹介します。

大型バイクと原付二種の理想的な使い分け

大型バイクと原付二種の理想的な使い分け
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数ある組み合わせの中で、最も王道であり、失敗が少なく、経済的にも合理的とされる最強のパターンが、「大型バイク(または普通二輪)」+「原付二種(51cc〜125cc)」の組み合わせです。

この組み合わせの最大のメリットは、何と言っても維持費の安さと用途の明確な棲み分けにあります。先ほど触れた「ファミリーバイク特約」が使えるため、セカンドバイクの任意保険料は主契約(自動車やメインバイク)の特約分だけで済み、単独で加入するより圧倒的に低コストです。さらに、原付二種は燃費がリッター40km〜60kmを超える車種も珍しくなく、消耗品も安価なため、経済的な優等生と言えます。

そして何より重要なのが「役割が被らない」ことです。メインの大型バイクは「休日のツーリングや高速道路を使った長距離移動、ワインディングを楽しむ趣味の相棒」として特化させ、セカンドの原付二種は「毎日の通勤・通学、近所のスーパーへの買い物、狭い路地裏の探索」といった実用的な足として使う。

このように、お互いの得意分野(テリトリー)が完全に異なっているため、「今日はどっちに乗ろうか」と迷うことがありません。遠くへ行くなら大型、近場なら原付二種。この明確な役割分担こそが、二台とも腐らせずに稼働させ続けるための絶対条件なのです。

バイクライフがさらに楽しいと感じるメリット

維持費や管理の苦労を乗り越えてでも二台持ちをする理由、それは理屈抜きに「楽しいから」に他なりません。一台だけでは味わえない、二台持ちならではの精神的な充足感とメリットについて深掘りしてみましょう。

1. その日の気分で「乗り味」を選べる贅沢

二台持ちの最大の醍醐味は、その日の気分や目的に合わせてキャラクターの異なるバイクを選べることです。例えば、重厚感のある大型バイクで高速道路をクルージングし、風と一体になる高揚感を味わう週末もあれば、軽快な小排気量車でトコトコと景色を眺めながら、気になったカフェにふらっと立ち寄る週末もある。

この振れ幅こそが、バイクライフに深みを与えてくれます。常に同じバイクに乗っていると、どうしてもその乗り味に慣れてしまい、感動が薄れてくることがありますが、たまに別のバイクに乗ることで「やっぱり大型のパワーはすごいな」「いや、小排気量の軽さも捨てがたいな」と、それぞれの良さを再発見できるのです。

2. 「乗れない期間」がなくなる安心感

バイク乗りにとって、愛車が車検や修理、カスタムでショップに入院している期間は、禁断症状が出るほど辛いものです。しかし、二台持ちなら「バックアップマシン」が存在するため、片方が入院中でもバイクライフが中断されることはありません。

また、万が一メインバイクで出先でのトラブルや故障に見舞われた際も、「とりあえずセカンドバイクがあるから、通勤や移動には困らない」という精神的な余裕が生まれます。この安心感は、生活の足としてバイクを利用している人にとっては非常に大きなメリットと言えるでしょう。

3. カスタムや整備の実験台として

自分で整備やカスタムを楽しみたい人にとっても、二台持ちは有利です。メインバイクをバラして整備している間、乗るバイクがなくなると焦って作業を急いでしまい、ミスをする可能性があります。しかし、もう一台あれば「今週はここまでやって、続きは来週やろう」と、じっくり腰を据えて作業に取り組むことができます。

特に、安価な中古のセカンドバイクを「教材」として購入し、構造を理解したりメンテナンスのスキルを磨いたりするライダーも少なくありません。そこで得た知識をメインバイクに活かせるのも、二台持ちならではの相乗効果ですね。

カブやスクーターをセカンドバイクにする

では、具体的にどのような車種をセカンドバイクに選べば、後悔しない二台持ちライフが送れるのでしょうか。多くのベテランライダーが行き着く答えの一つが、「スーパーカブ等のビジネスバイク」や「PCX等のスクーター」です。

これらを選ぶ最大の理由は、「気楽さ(サンダル感覚)」と「積載性」にあります。メインバイクがハーレーやスーパースポーツといった「趣味性の高い(=ある意味で不便な)」バイクであればあるほど、セカンドバイクには徹底した「実用性と快適性」を求めるのが正解です。

セカンドバイクにおすすめの車種タイプとその理由

  • スクーター(PCX, アドレス, NMAXなど):

    最大の武器は「シート下収納」です。ヘルメットやカッパ、買い物の荷物を放り込める利便性は、一度味わうと手放せません。クラッチ操作不要で、渋滞路や通勤も苦になりません。

  • カブ系(スーパーカブ, ハンターカブ, クロスカブ):

    驚異的な燃費(リッター60km以上もザラ)と、頑丈さが魅力。ギアチェンジの楽しさを残しつつ、クラッチ操作が不要なので気楽。カスタムパーツが無限にあり、プラモデル感覚で遊べます。

  • ミニバイク・オフロード(グロム, モンキー, KLX125など):

    「操る楽しさ」を重視するならこちら。車体が軽く、転倒してもダメージが少ないため、スポーツ走行の練習や林道アタックなど、メインバイクでは躊躇するような遊び方ができます。

私自身も、メインの大型バイクとは別に125ccのスクーターを所有していますが、近所のコンビニから片道30km程度のプチツーリングまで、稼働率は圧倒的にスクーターの方が高いです。「重いバイクカバーを外し、重い車体を取り回す」という儀式が必要ないため、ついつい手が伸びてしまうのです。

メインバイクが「ハレ(非日常)」の乗り物なら、セカンドバイクは「ケ(日常)」の道具として徹する。このコントラストが、長く続く二台持ちの秘訣と言えます。

用途が被らない車種選びが成功の鍵

二台持ちで後悔してしまう典型的な失敗パターンは、「似たようなキャラクターのバイクを二台持ってしまう」ことです。ここを間違えると、どちらか一台が確実にガレージの肥やしになります。

例えば、「600ccのスーパースポーツ」を持っているのに、さらに「1000ccのスーパースポーツ」を買い足してしまったとしましょう。最初は「サーキット用とツーリング用で使い分けるぞ!」と意気込むかもしれませんが、人間の心理として、どうしても「性能が良い方」「新しい方」「楽な方」を選んでしまいがちです。

また、ポジションやエンジン特性が似ていると、乗り換えた時の新鮮味が薄く、「これなら一台でいいんじゃないか?」という疑問が頭をもたげてきます。

成功する組み合わせの具体例

組み合わせのテーマ 車種例A(メイン) 車種例B(セカンド) 狙い・メリット
王道・実用重視 大型ツアラー / SS 125ccスクーター 遠出と日常の足を完全分離。最も維持しやすい。
道を選ばない オンロードバイク オフロードバイク 舗装路と林道、行ける場所が倍増し世界が広がる。
新旧の対比 最新の現行車 旧車(キャブ車) 電子制御の安心感と、アナログな操作感の両方を楽しむ。
スタイル別 アメリカン スーパースポーツ ゆったり走りたい日と、キビキビ走りたい日で使い分け。

このように、用途や走行シーンが被らないように意識して選ぶことで、それぞれのバイクの存在意義が保たれます。「この道を行くならこっちのバイクだな」と、出発前に地図を見てバイクを選ぶ瞬間の楽しさは、二台持ちライダーだけの特権です。

もし、どうしても「似たようなバイク」が欲しい(例:歴代のNinjaを並べたい、特定のメーカーで揃えたい)という場合は、それは「乗るため」ではなく「コレクション(所有欲を満たすため)」であると割り切る覚悟が必要です。

金銭的余裕と男のロマンを満たす条件

どれだけ理屈で「コスパの良い組み合わせ」や「賢い運用法」を語っても、最終的に二台持ちを続けるために最も必要なもの。それは、少しばかりの「金銭的余裕」と、理屈を超えた「バイクへの情熱(ロマン)」です。

維持費がかかろうが、メンテナンスに手間取られようが、ガレージに自分の好きなバイクが二台並んでいる景色を眺めながらコーヒーを飲む。その瞬間に「あぁ、幸せだな」と心底思えるなら、多少の苦労は帳消しになります。

しかし、現実問題として「生活費を切り詰めて、食費を削ってまで二台維持する」というのはおすすめできません。金銭的な余裕のなさは精神的な余裕を奪います。バイクの調子が悪くなった時に「また修理代か……」と舌打ちするようになってしまったら、それは潮時かもしれません。

ご自身の収入と、趣味(バイク)にかけられる予算のバランスを冷静に見つめ直してください。無理をして二台持つよりも、最高の一台に愛情とお金を集中させる方が幸せな場合も多々あります。「無理なく維持できる範囲」を知り、その中で最大限に楽しむこと。それが、大人の趣味としてのバイクライフの鉄則かなと思います。

バイク二台持ちで後悔しないための総括

最後までお読みいただき、ありがとうございます。バイク二台持ちは、確かに税金や保険といった維持費の増加、駐車スペースの確保、バッテリー管理などの手間といったコストがかかります。安易な気持ちで増車すると、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになるでしょう。

しかし、ご自身のライフスタイルに合った適切な組み合わせ(特に原付二種との併用など)を選び、事前にリスクを把握して対策を講じておけば、一台では決して味わえない豊かな経験と、彩りある毎日をもたらしてくれます。

「なぜ自分には二台必要なのか?」その目的を明確にし、無理のない計画で、理想のガレージライフを実現してくださいね。この記事が、あなたの背中を押すきっかけ、あるいは冷静な判断を下すための材料になれば嬉しいです。